今更ながら文章は日本語訳されています。

某月某日 職員室

 

「イオ。この間の戦闘模擬のレポートだが、あれは何だ?」
「何か問題でも?」
「民間人を人質に取った野盗団との戦いのシミュレートで、人質を見捨てる答えを書いたのはクラスの中でお前だけだぞ。まあ、人質を気にしすぎて運任せな回答をした奴も4、5人はいるけどな」
「けどトム先生、野盗団退治が目的なんだから人質なんているだけ邪魔だと思うけど」
「それじゃ問題文に人質出した意味がないだろ」
「あ、そうか。もっと趣旨を読むべきだった。ってトム先生、何で落ち込んでるんですか?」
「イオ、お前はどうしてそういう打算的な発想しかできないのか」
「失礼だな、先生。効率性重視って言うべきでしょ、そこは」
「効率を理由に命が捨てられるか。その人質がお前の知っている顔だったらどうする? それでも躊躇せず見捨てられるのか? それに遺族だって悲しむ。その悲しみを背負っていけるのか?」
「けど現実の戦いはそんなに甘くないって」
「馬鹿者。どっかの有名人が言うような言葉聞きかじった程度で分かった口を利くな。目的さえ果たせば万事解決と言えるほど現実は甘くないぞ。結果だけを求めると必ずツケが回ってくる。簡単に非情な判断を下すな。それに」
「それに?」
「多分、お前は土壇場でためらいなくこんな非情な判断を下せるような奴じゃない。まともな人間は人情なんて簡単には捨てられやしない。どれだけ危機的状況に陥ってもな。俺はそうであって欲しいと願っている」

 

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